2017年06月18日

「ブラックホールあぶり出せ」日経6月18日

 先週日曜日の日経科学欄は天文関係ではなかったので,ブログも一休みできました.今週からまた活動開始です.
 近年重力波で新たなタイプのブラックホールが検出され,見えないはずのブラックホールがあの手この手で観測できるようになってきましたが,今回の記事で紹介しているのは電波観測からもいろいろなブラックホールが見えるようになってきた,ということです.もちろん直接見えるのでなく,ブラックホールの周りの星雲ガスの運動から間接的にわかるということです.
 紹介されている電波観測は2件で,どちらも慶応大学の岡朋治教授のグループの研究です.最初の紹介は,本年1月の発表で「高速で動くブラックホールが星雲ガス(分子雲)を突き抜けて進んでいるらしい現象を観測した」というものです.「野良ブラックホール」というキャッチフレーズで,天文台のニュースなどで解説されています.
 2番目のものは,昨年1月の発表で「太陽の重さの10万倍という大きなブラックホールの周りで星雲ガスが高速で運動しているらしい現象を観測した」というもので,これも天文台のニュースで解説されています.記事にはありませんが,この他に「竜巻星雲 (Tornado Nebula)」などの天体もブラックホールによるのではないかと言われています.
 これらに似た天体は他にもいろいろ発見されており,それらの研究が進めばブラックホールの見方も大きく変わってくるかも知れません.面白くなってきました.
 なおこの記事の記者,中島林彦さんには,駿台天文講座で10月21日にお話しいただくことになっています.詳しくはホームページで.
posted by 駿台天文中嶋 at 18:03| Comment(0) | 日記

2017年06月03日

またまた重力波を観測(6月2日,日経記事)

 いよいよ重力波天文学も本格化してきました.2015年9月の最初の観測からわずか1年3ヶ月,本年1月4日に3度目の重力波が観測されたとのことです.(LIGOグループ発表の英文ニュース)
 今回のイベント(このような突発的な現象を「イベント」と呼びます)も,最初のものと同様,大型ブラックホールの合体でしたが,前回のものが13億光年の遠方であるのに対し,今回のものは20億光年とさらに遠方のものを捕らえたとのことです.また,合体前の2つのブラックホールの自転の回転軸,すなわち「自転軸」が,前回のように「公転軸」と平行ではなく,少なくとも一方が傾いていた,とのことです.これは,2つのブラックホールがそれぞれ独立に形成された後,接近してペアとなったということを意味しています.一連の重力波観測で浮かび上がった新たなナゾ,すなわち「太陽の数十倍の質量の大型ブラックホールはどのようにして形成されたか」というナゾに,新たな手がかりを与えるものです.
 天文学者が皆,首を長くして待っていること,それは3番目4番目の重力波観測装置の稼働開始です.現在は観測所は2箇所だけですが,これでは天球上での重力波到来方向を狭い範囲で決定することができません.これが可能になれば,重力波の受信直後に光の望遠鏡や電波望遠鏡をそこに向けて集中的に観測し,イベントの発生天体をピンポイントで捕らえることができるかも知れません.今回はまだ範囲を絞り込むことができなかったのですが,それでも世界中の天文台が協力して可能な範囲を捜索したとのことです.残念ながらそれらしいものは捕まりませんでしたが,次の「重力波天文台」の稼働開始を見据えて各国の天文台の共同観測体制を整備しておくことが急務であると思われます.
posted by 駿台天文中嶋 at 23:05| Comment(0) | 日記

2017年05月27日

5月26日日経朝刊,かがくアゴラ,生命誕生の研究

 今回のかがくアゴラは「生命誕生の謎 宇宙から探る」という見出しで,東工大地球生命研究所の藤島皓介先生のお話しを載せています.概略は「近年,太陽系外にも多くの惑星が存在することが明らかになり,また太陽系内にも木星や土星の衛星に氷の下の海がある可能性も指摘されている.宇宙に生命を探すことと,地球の生命の起源を研究することが一体となって『宇宙生物学』という分野が誕生し,急展開している.遺伝子工学を応用して生命の発生と進化を研究,また衛星のエンケラドスへ探査機を送る計画にも関わっている.」ということです.
 宇宙生物学は「アストロバイオロジー」と呼ばれ,2015年11月に,大学共同利用機関法人,自然科学研究機構に「アストロバイオロジーセンター」という研究機関が設置されました.
 「自然科学研究機構」は,2004年,国立大学や国立共同利用研究機関の法人化改組の際に設立され,傘下に国立天文台,核融合科学研究所,基礎生物学研究所,生理学研究所,分子科学研究所,があります.一見関係のなさそうな研究機関の寄せ集めのようですが,そこに設置されたアストロバイオロジーセンターは,この自然科学研究機構の特色をよく活かしたユニークな研究機関になりそうです.太陽系外惑星の探査なども,この機関に集約されてゆくことになります.注目!
posted by 駿台天文中嶋 at 20:53| Comment(0) | 日記

2017年05月22日

日経新聞5月22日(月)科学記事,ガンマ線望遠鏡

 記事の概要は,「日本や欧州の天文学者・物理学者が協力して,宇宙から飛来する超高エネルギーの放射線(高エネルギーガンマ線)を観測するための特殊な望遠鏡を建設中である.場所は,スペイン領カナリア諸島とチリのパラナルで,来年3月には1号機の観測が始まる予定である.高エネルギーガンマ線を解析すれば,暗黒物質のナゾに迫ることができるかも知れない.」というものです.この望遠鏡は「CTA」と呼ばれます.
 駿台学園の20日の天文講座で平林先生が,ブラックホールとの関連から高エネルギー宇宙ガンマ線の研究の重要性を強調されました.宇宙には,ナゾに満ちた現象がまだまだたくさんあるようです.
 CTAの日本の研究グループは,東京大学宇宙線研究所(ICRR)が中心となっていますが,ここでは他にもノーベル賞のスーパーカミオカンデなど,各種研究グループが大活躍をしています.webページには12のグループがリストアップされていますが,それらの内,XMASSについては2015年3月に,宇宙線望遠鏡TAについては同年10月に,また重力波については2016年12月に,それぞれ駿台天文講座で話を聴いています.

posted by 駿台天文中嶋 at 19:47| Comment(0) | 日記

2017年05月14日

5月14日、日経新聞科学欄、太陽活動と雷

 毎週注目している日曜の科学欄ですが、今回は「太陽活動と雷発生の関係」というものでした。内容は「太陽活動の地球への影響を研究している宮原ひろ子さん(武蔵野美大準教授)らが、日本での雷の発生頻度に太陽活動との相関があることを統計的に確認」というものです。論文は Annales Geophysicae という学術誌に掲載され、こちらから見ることができます。宮原さんには『地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来』(2014年、Dojin選書)という著書もあります。
 駿台学園のジュニア天文教室では、毎月の太陽黒点・爆発現象に注目しています。また駿台学園天文部では、黒点観測を50年間続けて来ています。これらの太陽現象を「太陽活動」と言います。天文現象は一般に変化が少なく、星座や星雲などは何百年見てもほとんど変化がありませんが、その中で「太陽活動」は数日〜数年で変化が見られる貴重な天文現象です。そしてそれが、地球の気候などの変動にも関係があるというのならば、これからも大いに注目せざるを得ません。

 
posted by 駿台天文中嶋 at 11:56| Comment(0) | 日記

2017年05月07日

5月7日,日経新聞科学欄

 注目の日経新聞日曜日,科学欄の天文記事ですが,7日は「原始惑星系円盤のガス成分の観測」の話題でした.内容は「日本の研究グループが,惑星が形成されつつある2つの天体を南米のアステ電波望遠鏡で観測し,ガスの組成を明らかにしてその起源の論争に決着をつけた.」というものです.
 これに関して天文台などのwebページを調べたところ,天文台,理研,アルマなどのサイトで既に4月10〜13日に発表されているもののようでした.最も詳細な解説はアルマのページにあります.
 観測された天体の一つ,がか座ベータ星は,赤外線天文衛星観測からすでに1983年,原始惑星系円盤の存在が確認されていました.これより以前は,太陽系以外に惑星系が存在するかまったくわからない状態でしたから,がか座ベータ星は天文学の新しいページを開いた天体の一つとして,私達の印象に残っています.それが,ここまで詳細に,それも化学の知識までも動員して解明されるようになるとは思ってもいませんでした.

 
posted by 駿台天文中嶋 at 17:22| Comment(0) | 日記