2021年01月23日

講座で聴きたい天文ニュース(2)  SKA(スクエア・キロメートル・アレイ)計画

 いささか旧聞になりますが、1月4日の日経新聞に「新天⽂台、地球外⽂明探る − 英豪南ア中⼼に電波望遠鏡 感度50倍、銀河の進化も」という見出しで、SKA計画の紹介がありました。これは電波天文学の計画で、「多数の電波望遠鏡を組み合わせて利⽤する。すべて(の電波望遠鏡の面積を)合わせると⾯積が世界最⼤の1平⽅キロメートル程度になることが名前の由来。」というものです。
 電波望遠鏡では「ALMA」が良く知られていますが、SKAは波長の長い電波を観測しようとするもので、また異なる宇宙像の解明が期待されます。記事には「太陽に近い1万個の星々で仮に⽂明が存在し、空港レーダーを使っている場合、SKAの感度なら捉えられる」とありました。
 日本では「日本SKAコンソーシアム」という組織が作られて、これに参加して行く予定だそうです。ぜひ講座で聴いてみたいと思います。
posted by 駿台天文中嶋 at 15:56| Comment(0) | 日記

2020年12月05日

講座で聴きたい天文ニュース(1)ガイアカタログ

 久々のブログ投稿です.これまでこのブログをどのように講座に活用しようか,いろいろ考えていましたが,結局「講座で聴きたい天文ニュース」をシリーズとして始めることにしました.初回は「ガイアカタログ」についてです.
 「ガイア」は,ヨーロッパの天文学者が中心になって実行されているプロジェクトで,全天のたくさんの恒星の位置を精密に測定する,というものです.2013年のガイア衛星打ち上げによって始まったこのプロジェクトは,これまで観測成果の第1版(2016年),第2版(2018年)が公表されていましたが,今回集大成ともいえる第3版が12月上旬に公表されました.ただしこれはまだ暫定版で,最終版は2022年の予定だそうです.
 「ガイア」の簡単な説明は,天文学辞典記事アストロアーツのニュース(2018)などにあります.wikipedia の日本語のページはあまり詳しくなく,一番充実しているのはドイツ語のページです.なお,ガイア計画のホームページは こちらです.
 「ガイア」のもたらすデータは,17億以上の恒星についてその天球上の位置や固有運動,さらに距離の指標としての年周視差を,10万分の1秒角の精度で提供するというもので,文字通り未曽有のデータです.このデータを使って銀河系の構造を解析した研究など,すでにいくつかの成果が報告されています.(たとえば こちら.)
 ぜひ駿台天文講座で詳しい説明を聴きたいものです.
posted by 駿台天文中嶋 at 13:05| Comment(0) | 日記

2020年07月23日

スーパーフレアの観測、京都大学せいめい望遠鏡

 日経新聞、7月22日朝刊に、京都大学の新しい「せいめい望遠鏡」が「スーパーフレア」を観測した、という記事がありました。記事は こちら。これはまた 7月10日の国立天文台webニュース でも取り上げられています。また「せいめい望遠鏡」については、本ブログで5月に紹介した 国立天文台ニュース4月号 に詳しい説明があります。
 「スーパーフレア」は、京都大学の柴田教授を中心とするグループが2012年に発見したもので、太陽表面での爆発現象の「フレア」が1000倍以上にも成り得るかもしれない、というものです。詳しくは こちら
 このようなフレアが起これば、人類社会はひとたまりもないのではないかと考えられます。「せいめい」も「フレア」も、ぜひ天文講座で取り上げたいと思います。
posted by 駿台天文中嶋 at 09:42| Comment(0) | 日記

2020年07月17日

新聞記事、超新星を研究する国立天文台の山岡さん

 日経新聞、7月17日の「かがくアゴラ」の欄に、山岡さんが紹介されています。リンクは こちら
 ご存知の人も多いと思いますが、山岡准教授は、国立天文台天文情報センター広報室長として大活躍中です。その一端は、国立天文台ニュース連載の「キーナンバーで読み解く宇宙」でも見ることができます。最近では、コロナで休校中の学校生徒に対しオンラインで科学授業を配信する運動の一環として、国立天文台の機材やスタッフによる天文授業を企画・配信されました。国立天文台ニュース、2020年4月号 のp10にその紹介が出ています。
 ご専門の天文学は、今回の新聞記事のように「超新星爆発」ですが、ぜひ駿台でもお話しいただきたいと思います。
 ところで今後の天文講座の予定ですが、とりあえず7月18日の講座は、万全の態勢を整えて予定通り開催することになりました。詳細は 駿台学園ホームページのお知らせ をご覧下さい。今回の講座がとどこおりなく実施できた場合は、8月、9月の講座も予定通り開催することとし、また10月以降には、今回延期となった4講座を順次開催したいと考えております。駿台学園ホームページのお知らせにご注目下さい。
posted by 駿台天文中嶋 at 11:03| Comment(0) | 日記

2020年06月28日

日経新聞,6月28日記事「トモエゴゼン」

 日経新聞,日曜日の科学欄で「トモエゴゼン」が紹介されています.無料会員登録があれば こちら から読めます.トモエゴゼンの話は前々回,前々々回にも紹介しましたが,今回はさらに,AIを活用したデータ処理の話,また大きな問題となっているスペースデブリの調査への利用の話などもあります.
 延期となったトモエゴゼンのお話は,10月以降のなるべく早い時期に実現したいと思っております.ご期待ください.
posted by 駿台天文中嶋 at 11:07| Comment(0) | 日記

2020年05月31日

5月31日記事、太陽系外惑星

 駿台天文講座がお休みしている間にも、星の話題は次々と登場しています。31日の日経新聞朝刊に、太陽系外惑星の観測の話題がありました。リンクは こちら
 記事概要は、すばる望遠鏡の新観測装置で系外惑星を観測し、惑星の公転軌道とその母なる恒星の自転方向が一致していることを確認した、というものです。これは、系外惑星に生命の可能性があるかなど、惑星の環境を研究する上で出発点になる重要な情報である、ということでした。
 しかしどうもこの記事だけではいま一つよくわからないところがあるように思います。細かくなるかもしれませんが、どうして母星の自転方向と惑星の公転方向の関係が観測できるのか、またその関係が惑星表面の環境にどのように関わるのか、などです。前者については、5月21日の アストロアーツの解説記事アストロバイオロジーセンターの解説 に説明が出ていますが、「ロシター効果」という現象を利用する観測です。
 実は今回の観測成果のすごいところは、何十光年もかなたの恒星の非常に微妙なスペクトル線のずれを測定した、というところにあります。これは、すばる望遠鏡の大集光力と、新開発の「IRD」という分光器の威力によるものです。「IRD」については こちら をご覧ください。なんとも不思議なスペクトルの図が出ています。
 後者の、惑星環境や生命存在の研究との関連については、今回延期になった井田先生の講演が実現した際に先生に直接質問してみたいと思います。
posted by 駿台天文中嶋 at 15:51| Comment(0) | 日記