2019年10月14日

9月22日の日経記事、天の川中心の巨大ブラックホールの活動

 前回に引き続き、書きたいことのその2、です。遅くなってしまいましたが、9月22日の記事の話題です。

 記事の内容は、天の川銀河中心付近のいろいろな現象について、でした。箇条書きにすると:
1)銀河中心で赤外線が急に増光する現象が、5月に観測された。
2)フェルミ衛星のガンマ線観測で、銀河中心から銀河面の垂直方向に大きく広がる泡構造が、2010年に発見された。
3)銀河中心から300光年の距離にある星間ガス雲が、1990年代半ばから約10年間、強いX線を放ち続けたことが⽇本の天⽂衛星で観測された。

 これらのことから考えられることを箇条書きにすると:
1)天の川銀河中心の巨大ブラックホールで、1000万年前に何らかの大爆発が起こり、ガンマ線の泡構造ができた。これは以前に発見された電波やX線の巨大なループ構造をももたらした(早稲田大学、片岡教授)。
2)星間ガス雲のX線の輝きは、300年前にブラックホールで何らかの爆発が起こり、それが300光年離れた星雲に反射したものが1990年に見えた。
3)1000万年前のブラックホールの爆発は、近くにあった巨⼤ガス雲などがブラックホールに吸い込まれる過程で⽣じたのではないか(片岡教授)。
4)300年前の爆発は、近くの星が⼤爆発して発⽣した衝撃波がブラックホールを取り巻くガス円盤を揺さぶって生じたのではないか(京都大学、小山勝二名誉教授)。
5)2014年に地球の3倍くらいの質量の星間ガス雲がブラックホールに最接近したことが観測されたが、これでブラックホールを取り巻くガス円盤が揺さぶられ、約5年遅れでその影響が現れたのが今回の赤外線の増光ではないか(国⽴天⽂台、川島朋尚特任助教)。
6)これからもこのような現象がたびたび起こるのではないか。

 10月の小山先生のお話しには、超新星爆発の残骸星雲のX線観測が出てきますが、小山先生は銀河中心のX線についても大きな仕事をされています。いずれまたこちらのお話もお願いしたいと思います。
posted by 駿台天文中嶋 at 00:04| Comment(0) | 日記
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