前回のブログで予告しましたが「遠方の銀河で惑星の存在が確認された」という記事について,論文を調べてみました.その内容は「ほぼ点光源のように見えるクエーサーに手前の銀河が重なって起る『重力レンズ』効果で,手前の銀河の中の小さな天体(惑星程度の大きさ)の存在が検出できる」という話のようです.遠方のクエーサーは約63億光年,手前の銀河は約35億光年で,どちらも大変遠方の天体です.
クエーサーは,大変コンパクトな場所から大変高エネルギーの放射が出ているという天体で,その正体は巨大ブラックホールであるとされています.今回のクエーサーのブラックホールは,太陽の100万倍くらいの質量で大きさは地球軌道程度と見積もられており,これが63億光年の彼方にあれば十分コンパクトな点光源です.そしてこの光源の手前を天体が横切れば,惑星程度の大きさの小さな天体でも大きな重力レンズ効果が起こり,観測されるのだ,ということです.そしてこれまでのチャンドラX線衛星の38回の観測で,それが確認されたのだそうです.
「惑星程度の天体」と言っても実際の恒星の周りの惑星ではなく,独立して宇宙を漂う天体のことです.このような天体は我々の銀河系の中でも検出は難しく,銀河宇宙にどの程度あるのかはわかっていません.初めて確認されたのがこの前の「オウムアムア」ですが,これは小さくて話になりません.今回の観測では,このような天体が銀河全体の質量の1000分の1ほど存在するということですが,これらが他の観測で追試できれば,またまた新しい分野に天文学が広がった,ということができます.
2018年02月10日
銀河の惑星(第2報)
posted by 駿台天文中嶋 at 12:00| Comment(0)
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