前回のブログ(10月8日)で重力波のノーベル賞について報告し,また重力波の4回目の観測についても言及しました.そしてそこで,「これで他の観測(可視光や電波,X線など)との同時観測が可能になれば,まったく新しい天文学分野が開かれることになると思われます.」と書きましたが,さっそく実現してしまいました!それも,その4回目の観測のわずか3日後,8月17日だったということです.天文学の新分野が急展開を始めました.
今回の重力波は,これまでのブラックホール合体とは異なって,もっと軽量の「中性子星」の合体だということでした.当然,以前よりも近距離でなければ観測できないのですが,ブラックホールの合体が10〜20億光年であったのに対し,今回は1億3千万光年だということです.だんだん近づいて来ました.
重力波観測装置LIGOのニュースページは こちら, LIGO やイタリアの Virgo で構成される研究グループ LSC のニュースページは こちら.
また今回は,冒頭にも書いた通り,他の観測(赤外線やガンマ線)も行われ,ハワイのすばる望遠鏡でも観測しました.すばるのニュースは こちら. 毎日新聞の紙面でコメントを述べている国立天文台の田中雅臣さんは,前々回のブログでも書きましたが,駿台天文講座で昨年の7月16日にお話しをしていただきました.
ついでに,前日の16日の日経新聞朝刊の記事「宇宙解明へ 素粒子を追え」についてもコメントします.ここで取り上げられている「ニュートリノ天文学」もまた,重力波と同じように全く新しい天文学を切り開くものです.重力波天文学が,最初の観測から2〜3年の内にこのような猛烈なダッシュを始めてしまったのに対し,ニュートリノ天文学は小柴さんの最初の観測から30年経っても後続の観測がありません.しかし16日の日経新聞の記事によると,現在のスーパーカミオカンデよりもさらに大型のハイパーカミオカンデの計画も始まり,また同様な装置が米国では既に建設も始まっているということです.これらの装置が稼働を始める2026年ころにはニュートリノ天文学もダッシュを始めることでしょう.
ハイパーカミオカンデのホームページは こちら,また米国の計画 DUNE のホームページは こちら.
2017年10月17日
前回のブログの通りになりました ー 10月17日各紙朝刊記事
posted by 駿台天文中嶋 at 12:03| Comment(0)
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