前回の「観測的天文学の新しいページ」のリストは,ロケットや衛星による太陽系天体の直接探査の技術についてはリストアップされていませんでした.改めてまとめてみると,次のようになるかと思います:
1)1926年,アメリカの発明家,ゴダードが,初めてロケットの飛翔実験に成功.またこれより先に,ロシアのツィオルコフスキーがロケットによる宇宙旅行の理論を展開した.
2)1945-1950年,アメリカで,ドイツのロケットV2号にアメリカのワックコーポラルを載せた2段式ロケットが科学観測に利用され,初めて大気圏外から地球を撮影した.
3)1958年,ロシア(当時ソ連)が,初の人工衛星を打ち上げ.同じく1961年には,有人宇宙飛行も成功.
4)1959年,ソ連の月ロケットが月面に到着(衝突),同年,月の裏側の撮影にも成功,1966年には月面の軟着陸をも果たす.
5)1962-1973年,アメリカのマリナー探査機が,金星,火星,水星を探査.またヴァイキング2号は,1976年,火星表面に軟着陸.
6)1961-1983年,ソ連のヴェネラ探査機が金星を観測,1975年には軟着陸して金星表面の撮影にも成功.
7)1969-1972年,アメリカのアポロ計画で,人類が初めて月面に立つ.また多くの資料を持ち帰り,太陽系の研究が大きく発展.
8)1972年,パイオニア探査機が打ち上げられ,木星以遠の惑星の探査が進展.1977年にはボイジャー探査機が打ち上げられ,現在も太陽系外を探査中.
9)1985年,欧州宇宙機関のジオット探査機が打ち上げられ,1986年接近のハレー彗星の探査を,各国の衛星と協力して行った.これは最近になって,2015年のロセッタ探査機・フィラエ探査機の,チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星着陸探査へと発展した.(本ブログの2015年9月の記事参照)
10)1989年打ち上げのガリレオ探査機は,1995年,木星に到着してガリレオの4大衛星を観測,また1997年打ち上げの土星探査機カッシーニは2004年に土星に到着,2005年には探査機ホイヘンスが衛星タイタンに着陸して映像を送ってきた.
11)1996年,地球近傍小惑星探査機,NEARシューメイカーがアメリカから打ち上げられ,2000年に小惑星エロスに到着,詳しい観測を行った.また日本の「はやぶさ」は2005年に小惑星イトカワに着陸,2010年にサンプルリターンを果たした.さらに,アメリカの探査機ドーンは,2012年に小惑星ヴェスタに,また2015年には準惑星になったケレスに到着,それぞれを詳しく撮影した.
12)1997年,マーズ・パスファインダーを皮切りに,アメリカの火星着陸探査機が次々と火星表面を探査.2004年にスピリットとオポチュニティが,2012年にはキュリオシティが着陸して,現在も探査中.
13)2006年打ち上げの冥王星探査機ニューホライズンズは,2015年1月,太陽系最果ての準惑星冥王星に到達して観測.
14)2010年に打ち上げられたソーラーセイル実証機IKAROSは,太陽光のエネルギーを受けて現在航行中.
歴史的な重力波のニュースを受けて急遽,天文観測技術の発展の歴史をまとめて見ました.
2016年02月14日
重力波の観測(2)太陽系探査技術技術発展の歴史
posted by 駿台天文中嶋 at 15:44| Comment(0)
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