2016年02月13日

重力波の観測(1)宇宙の観測技術の発展と人類の宇宙観の変化

 天文学の歴史上の一大ニュースが飛び込んできました!これまでなかなか観測できなかった「重力波」が,ついに観測されたのです.昨年の9月にアメリカの観測装置が受信した信号は,いろいろ吟味した結果,紛れもなく重力波によるものであると確定され,2月11日の記者会見で発表されました.これで天文学の歴史の新しい一ページが開かれた,といっても過言ではありません.
 
観測的天文学の新しいページが開かれた出来事を,私なりにまとめてみると,次のようになります:
1)1609年,ガリレオが望遠鏡で宇宙を見た.その後,ハーシェルが大きな望遠鏡を作って宇宙を観測し,全く新しい宇宙像を描き出した.
2)1917年,アメリカ,カリフォルニアのウィルソン山天文台に100インチ大望遠鏡が完成した.これを利用して,ハッブルが,銀河の分布する宇宙,宇宙の膨張,などを発見した.
3)1932年,ジャンスキーが,宇宙からの電波を初めて捕らえ,電波天文学が始まった.電波で観測されたいろいろな天体の中で,1963年,クェーサーという異常な天体が発見され,宇宙には想像を絶する天体があることがわかった.
4)1962年,ロケットによるX線観測で宇宙のX線天体が発見され,1966年,岡山天文台でこの天体がさそり座に同定された.これにより,大気圏外からの天体観測が開かれ,X線や紫外線,赤外線の新しい天文学が始まった.
5)1965年,波長の短い電波の観測技術が登場,これがビッグバン宇宙の名残の宇宙背景放射を確認し,宇宙に始まりがあったことが明らかになった.この短波超電波観測技術はこの後,ミリ波電波などで星雲や星の誕生などの姿が描かれるようになった.これはALMA望遠鏡として発展しつつある.
6)1967年,アメリカのヴェラ衛星がガンマ線バーストを発見.これにより,宇宙線観測の方法が新たな天文学分野として登場,現在さらに発展中である.
7)1967年,高時間分解能電波観測の技術により,パルサーが発見され,中性子星という異常な天体の存在が確認された.これはその正確なパルスによりいろいろな天文観測が行われ,重力波の存在の間接的な
8)1974年,電波干渉観測法でケーブルを使用しない長基線電波干渉計技術が確立され,高分解能電波観測や高精度位置天文観測が可能となった.特に後者で,測地学の観測制度が格段に向上,大陸移動が実際に測定された.
9)1987年,超新星爆発からのニュートリノがカミオカンデで観測された.これは星の内部を直接観測したことに相当するもので,さらなる発展が予想される.また,素粒子物理学が天文学に関わる道が開かれた.
10)1989年,電波と赤外線の中間の波長帯の高精度観測衛星COBEが打ち上げられ,1992年,宇宙背景放射の中に宇宙構造の「種」を発見した.これはさらにWMAP衛星,PLANCK衛星として発展し,宇宙年齢を138億年とするなど,宇宙論に大きな成果をもたらした.
11)1989年に打ち上げられたヨーロッパ天文学グループの高精度位置天文観測衛星ヒッパルコスは,1993年までにそれまでの位置天文観測精度を2桁以上向上させ,3次元宇宙像を大きく塗り替えた.
12)1992年,マイクロ重力レンズ現象の発見により,光を発していない天体の観測が可能になった.
13)2009年,ケプラー衛星が打ち上げられ,太陽系外惑星惑星の探査が大きく発展した.
14)2015年,重力波の直接観測に道が開かれた.

駿台学園天文講座もますます重要になってきました.
posted by 駿台天文中嶋 at 02:24| Comment(1) | 日記