2018年02月11日

銀河の惑星(補足)

 昨日のブログ記事への補足です.ここでの「重力レンズ」は「重力マイクロレンズ」というもので,大きな銀河団などのもたらす重力レンズ(参考図)とは異なる現象です.重力マイクロレンズは,図示することはできませんが言葉で説明すると,「小さな天体が,さらに小さな点光源の前を通過する時,一瞬,虫眼鏡のように点光源を拡大する」というもので,どんなに遠方でも小さな天体一個一個の存在を確認することができます.もちろん近くの天体でも起こることで,私達の銀河系の中でも,光を発していない小さな天体が遠方の恒星の前を通過する際にこれが観測されます.このような現象は,もう既にいくつも観測されています.
 重力レンズ天文学については,駿台でも何回かお話しいただいた東京大学の須藤靖先生の大変良い解説が こちら にあります.
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2018年02月10日

銀河の惑星(第2報)

 前回のブログで予告しましたが「遠方の銀河で惑星の存在が確認された」という記事について,論文を調べてみました.その内容は「ほぼ点光源のように見えるクエーサーに手前の銀河が重なって起る『重力レンズ』効果で,手前の銀河の中の小さな天体(惑星程度の大きさ)の存在が検出できる」という話のようです.遠方のクエーサーは約63億光年,手前の銀河は約35億光年で,どちらも大変遠方の天体です.
 クエーサーは,大変コンパクトな場所から大変高エネルギーの放射が出ているという天体で,その正体は巨大ブラックホールであるとされています.今回のクエーサーのブラックホールは,太陽の100万倍くらいの質量で大きさは地球軌道程度と見積もられており,これが63億光年の彼方にあれば十分コンパクトな点光源です.そしてこの光源の手前を天体が横切れば,惑星程度の大きさの小さな天体でも大きな重力レンズ効果が起こり,観測されるのだ,ということです.そしてこれまでのチャンドラX線衛星の38回の観測で,それが確認されたのだそうです.
 「惑星程度の天体」と言っても実際の恒星の周りの惑星ではなく,独立して宇宙を漂う天体のことです.このような天体は我々の銀河系の中でも検出は難しく,銀河宇宙にどの程度あるのかはわかっていません.初めて確認されたのがこの前の「オウムアムア」ですが,これは小さくて話になりません.今回の観測では,このような天体が銀河全体の質量の1000分の1ほど存在するということですが,これらが他の観測で追試できれば,またまた新しい分野に天文学が広がった,ということができます.
posted by 駿台天文中嶋 at 12:00| Comment(0) | 日記

2018年02月07日

日経新聞科学記事,算額,銀河の惑星

 K.S.さん,2月5日のコメントありがとうございました.「遠方の銀河の中に惑星を発見」というのは,私も大変関心があります.少し調べて関係論文がわかりましたので,今日,天文台図書室へ行って読んで見ようと思います.また後ほど,ご報告します.
 その前に,2月4日の紙面に「算額」の記事があったので,これを取り上げたいと思います.映画の「天地明察」にもあったように,江戸時代の「和算」,「算額」および天文学の「暦計算」は深い関係がありました.ということで,昨年の北軽井沢夏季講座では「和算と算額」を取り上げました.この道に詳しい先生方をお招きして,大変興味深い内容の講座でした.こちらをご覧下さい.もう一つのテーマの「暦(こよみ)」については,あまり時間がなかったので,土曜日の講座で取り上げたい,ということになりました.星と宇宙の話題は,尽きることがないですね.
posted by 駿台天文中嶋 at 09:19| Comment(1) | 日記

2018年01月12日

1月20日(土)の,吉川先生の講演

 遅くなりましたが,新年のご挨拶を申し上げます.今年も駿台講座をどうぞよろしく.
 さて1月の講演ですが,今回は JAXA 宇宙科学研究所の吉川真先生のお話しで,「天体の地球衝突問題とその対応」というテーマです.吉川先生はこのテーマに関しては日本の第1人者で,昨年日本で行われたこのテーマの国際学会では委員長を務められました.また「はやぶさ」でもご活躍で,これらについて駿台講座でもたびたびお話しを頂いております.(講演要旨は こちら.)
 講演要旨の中でも触れられていますが,昨年,太陽系外から飛来した天体というのが初めて観測され,大変話題になりました.「オウムアムア」と呼ばれるこの天体について,解説記事が,1月6日の日経電子版,ナショナルジオグラフィックのページに出ています.(こちら
posted by 駿台天文中嶋 at 20:51| Comment(1) | 日記

2017年12月01日

日経新聞,12月1日朝刊,「ニュースな科学」面に田中雅臣さんのお話しが.

 またまた田中雅臣さんのお話しですが,今回は日経新聞で紹介されました.記事執筆は中島林彦記者です.もう何度もブログに書きましたが,この記事を参考に本件をもう一度まとめてみると次のようになります:
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 今年8月に「中性子星の合体による重力波」が初めて観測され,しかも発生源が特定されて他の観測手段(赤外線など)でも観測することができた.これは天文学の歴史を画する大発見と言って良い.今回の発見でわかったことは,中性子星の合体でどのようなことが起こるか,ということである.これについては,観測以前からいろいろな理論計算(シミュレーション)が行われていたが,その中の「キロノバ」という考え方のシミュレーション結果が,今回の観測データによく一致した.したがって「キロノバ」で考えられたシナリオが実際に起こった,と考えられる.シナリオの内容はいろいろあるが,その一つに「宇宙の重元素の起源」がある.「鉄」より原子番号の大きい「重元素」は恒星の内部での核反応では形成できないとされており,その存在は宇宙の大きなナゾであった.それが,中性子星の合体の際に飛び散った飛沫の中から形成されたと考えられる,というのである.
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 重元素の代表は「金」や「白金」などということで,今回「金がたくさんできた」ということになっていますが,もちろん「ウラン」や「ニホニウム」などもできたはずです(ニホニウムはすぐに崩壊).記事の中で田中さんも言っているように,このような観測は今後数多く行われることが期待され,新たな天文学理論の発展が予想されます.わからないことがあったら,2月17日の月例講演で田中さんにいろいろ質問して下さい.
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2017年10月19日

NHK 19日夜、コズミックフロント、2014年の再放送、重力波を探せ

 前回のブログで、今回の大発見について田中雅臣さんが毎日新聞でコメントしていたと書きましたが、田中さんはこの NHKのコズミックフロントにも出ていました。放送は19日夜でしたが、実はこれは3年前のものの再放送で、まだ重力波の発見以前のものでした。ところがこの番組の中で、田中さんが今回の大発見(中性子星の合体)のことを正確に予言しているのです!再度駿台学園でお話して頂かないわけには行きません。
posted by 駿台天文中嶋 at 23:57| Comment(0) | 日記